「なによ!私がこんなに結婚したがってるのに、
あなたは全然そんな気ないのね!」
「ちょ!待ってよ!話せばわかるよ!」
「あらお客様、お連れ様がいらっしゃいましたの?」

バキッ!
「うわっ!」
「その言葉は、もう聞き飽きたわよ!」
「この方は・・・奥様かしら?」

「さぁ、バカンスはもう終わり!帰るわよ!
特別サービスが受けられなくて、残念ね!」
「くうぅ〜・・・ひどいよ、一方的に・・・」
「この腕力、主婦にしておくには惜しいわ!
ここの広大な敷地の庭仕事を、お願いできないかしら・・・?」


一方こちらは、家で二人の帰りを待つグウェン。
「あっ、帰って来たよ!結婚できたかねぇ?
結婚パーティーと孫の誕生パーティーを一緒にできたら、めでたいんだけどねぇ」

「お帰り、ガブリエル!作戦は成功したのかね?」
「全然ですわ、おばあ様!
グレープには愛想が尽きましたわ!私、実家に帰らせていただきます!」
「やっぱりね・・・なんか変だと思ってたけど、
二人して何か企んでたんだな」

「さようなら、おばあ様。
フルーツ家の嫁になれなくて、残念でしたわ」
「あたしもだよ・・・急いでまた嫁候補を探さなきゃねぇ」
「ふぅ・・・失恋はしたけど結婚しなくて済んだから、これで良かったのかな・・・」

「ご主人様、お気持ちお察ししますワン。
愛は、失って初めてその大切さがわかるのですワン・・・」
「そうだね、ポンチ。
お前犬なのに、僕の気持ちが理解できるんだね・・・」

「そして愛では、お腹いっぱいにはならないのですワン。
修羅場のどさくさで、ボクのご飯忘れてないですワン?」
「・・・とは言っても、そういうところはやっぱり犬だねお前・・・」
